キリストの心（教会だより2022年8・9月号）
2022.9.13

『柔和な人々は幸いである』
マタイ５章５節

　５月に高校のクラス会がズームで開かれたときのこと。ウクライナの戦禍が話題になって、ある人が「人間はもとは動物だから争いを止められないんだよね。高野さんはどう思いますか？」と問いかけました。とっさに私はこう答えました。「いや、動物は同種同士でそんな殺し合いはしない。腹を出して降参すれば攻撃を止める。人間は限度を知らずにやってしまう。最悪の動物だ」。

　人間は脳を大きく育て、道具や言葉を発達させて、文化を築き上げてきました。こうして自由を獲得した人間は、健全な本能を失い、自我を肥大化させて、神にも人にも高慢になりました。人間は素直に神の声を聞くことができなくなりました。その結果、アダムとエバは神の掟を破って禁断の果実を食べ、カインは兄弟アベルを殺しました。神との関係も、人との関係も損なってしまいます。

　神はイエス・キリストを通して、そんな罪の人間にも無条件の愛を現してくださいました。私たちは神の愛に包まれ、自分の高ぶりに気づき、へりくだって素直に神の御声を聞き入れることができるように、日々御言葉に親しむ者でありたいと願います。

（西東京ルーテル教会牧師　髙野公雄）