キリストの心(教会だより2022年11月号)
2022.11.17

『「終わり」から「始まり」へ』
ヨハネ黙示録20章1~4

 教会の暦では、毎年11月、人生の終わりと世界の終わりに思いを馳せる。

 「終わり」という言葉から、「終わってしまう」という寂しさや悲しみ、「どう終わるのか」という不安や恐れ、「やっと終わる」という安堵や解放感、そうした多くの思いを抱く。

 「これで終わりです。私にとっては命の始まりです」。これは第二次世界大戦時、ヒトラー率いるナチスドイツへの抵抗運動で捕えられた、ルーテル教会の牧師ディートリヒ・ボンヘッファーが処刑される前日に語ったと伝えられる言葉だ。自分の命が奪われようとしているまさにその時、彼は終わりではなく、信仰により、その終わりを超えた新しい始まりを見ていたのだ。

 死の間際の医療ケアを「ターミナルケア」と呼ぶ。日本語でも「終末期医療」などと呼ばれ、ターミナル=終点のような印象を受ける。しかし、私たちに与えられている福音によるなら、それはただの終点としてのターミナルではない。新しい命・新しい世界に向けての乗り換え駅、始発としてのターミナルだ。その運転手はもちろん命の主イエス・キリストにほかならない。

(大麻ルーテル教会牧師 白井真樹)