キリストの心(教会だより2021年11月号)
2021.12.22

「カモメから聞く福音」
ルカによる福音書4章3~4節

「カモメのジョナサン」という小説があります。本の内容はこうです。ほとんどのカモメたちにとって飛ぶこととは、餌を得るための行為に過ぎませんでした。しかし、主人公であるジョナサンというカモメは、このような考えとは違う考えを持っていました。ジョナサンにとって飛ぶこととは、「自分が何者であるか」という疑問に対する答えでした。それで、ジョナサンは飛ぶことに対して新しい意味を与え、毎日飛ぶ練習をしました。
新しい意味をもって飛ぶのは、簡単ではないことでした。餌のためではなかったので、体はやつれ、疲れ果てた姿になりました。他のカモメたちもジョナサンのことを見て、生意気なやつだと思いました。でも、ジョナサンは飛ぶ練習を諦めませんでした。最終的にジョナサンは、誰よりも速く、高く、自由に飛び上がれるカモメになり、他のカモメが見られないことも見れるようになりました。
ルカによる福音書4章3節で、サタンはイエスさまに「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ。」と誘惑します。40日間、断食なさったイエスさまのことはさて置いても、人間にとって「パン」というものは、いつも目を引き付けられるほど、欲しがるものです。しかし、イエスさまは、「人はパンだけで生きるものではない」と答えられ、パンよりも大切なものがあることを教えてくださいました。人生の中でパンが占めている部分は決して少なくありません。しかし、イエスさまと繋がれている私たちにとって一番大切なものは、パンだけではないでしょう。ジョナサンのように、価値高く生きる私たちになりますように祈ります。

(飯能ルーテル教会牧師 李 正雨)